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【マンション住民約2,200名が答えた、防災対策アンケートの結果を発表】大地震の際、全体の約8割の住民が自宅での被災生活を想定している一方で、マンション全体の5割以上がマンションの防災対策が進んでいないと回答

マンションの防災活動の支援も行う、株式会社つなぐネットコミュニケーションズが運営する「マンション・ラボ」では、マンションでの防災活動の現状を調査するアンケートを実施いたしました。以下、概要をご報告します。

【調査概要】
調査期間:2024年1月17日~1月31日
調査方法:インターネット調査
回答者数:2,169名

【調査サマリー】------------------------------------------

  • 被災後は約77%の方が、マンション内で生活を送る想定

  • 地震後の不安TOP3は、「建物設備への被害」「安否確認」「自宅での被災生活」

  • いま、自宅で行っている防災対策は、「飲料水・食料の準備」「停電対策」「災害用トイレ」が上位

  • 一方、安否確認の対策が15%程度と、低い

  • マンション全体での防災対策は、約半数が「進んでいない」と回答。対策が進まない理由としては、「どこまで備えていいかわからない」という回答がTOPに

  • マンション内に助け合える人も約半数が不在(わからない含めると6割)また、防災訓練への参加も半数弱が「したことがない」と回答

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■大地震発生後も、自宅マンションでの被災生活を希望する方が全体の約77%

多数の方が、避難所ではなく「自宅マンションで の被災生活」を想定している結果となりました。
背景には、マンションの耐震性への信頼、安心感、住み慣れた自宅マンションで過ごしたいという希望があるように思います。

■大地震が発生した場合の不安なことTOP3は「マンション建物や設備の被害」「家族の安否」「自宅での被災生活」

不安なことTOP3は、「建物や設備の被害」「家族の安否」「自宅での被災生活」という結果となりました。
「建物や設備の被害」への不安が高い背景としては、令和6年能登半島地震による建物倒壊などの被害状況が、影響しているかもしれません。「家族の安否」については、コロナ禍による在宅ワークなどがひと段落し、通勤する方が増えて被災時に家族が一緒にいない状況を想定している可能性もありそうですね。「自宅での被災生活」への不安は、どのような生活になるのか、どのくらいの期間になるのかなどの経験値がない、想像ができない、ことも背景にあるように思われます。

■家庭で最も実施している防災対策は「食料や水などの備蓄品」。一方、不安が大きい「家族の安否」への確認対策が不足

家庭での備えとしては、「飲料水・食料の備蓄」「停電への備え」「災害用トイレの備蓄」が上位TOP3に。自宅マンション内での被災生活を想定している結果だといえるでしょう。

一方で多くの方が不安視していた「家族の安否」への確認対策は、全体の15%程度にとどまる結果となりました。また、「家族の安否確認対策」を実施している内容をみても、「LINE」という回答が多いことから、災害時にはインターネットが利用できない状況も想定した、安否確認の方法を決めておく必要があると思います。

災害発生直後は、食料や水等の支援物資が届くまである程度時間がかかることを想定し、最低3日分の食料や水の備蓄が求められていますが、大規模災害発生時には、「1週間分」の備蓄が望ましいとされています※。2~3日分以上を用意している方は約40%、7日分は18%程度にとどまる結果となりました。マンションの各住戸で長期間分の備蓄品を保管するスペースを確保することが難しい場合も想定されます。その場合は、例えば、5階ごとにフロア住居分の備蓄品が保存できるスペースを設けるなど、マンション全体でサポートしていけるとよいのではないでしょうか。

※  https://www.kantei.go.jp/jp/headline/bousai/sonae.html

■自分の住むマンションの防災対策について、約55%が「進んでいない」と回答

「進んでいない」という回答が半数を超える結果に。防災対策に注力している管理組合様もたくさんいらっしゃるなか、取り組みが住民の方になかなか伝わっていない状況も多いのかもしれません。
ちなみに進んでいないと思う理由としては、以下のとおりです。

「どこまで備えればいいかわからない」「なんとなく大丈夫のような気がしている」「災害未体験なので実感がわかない」「対策に知識をもつ人が不足している」が進まない理由として上位を占めています。
なお、前回の防災アンケート結果※が
・全く進んでいない:10.6%
・あまり進んでいない:44.5%
と、今回のアンケートとほぼ同じ結果であることから、マンションでの防災対策があまり進んでいないのかもしれません。

※前回のアンケート結果

このような不安などを地道に払拭していけるような活動、たとえば防災活動の周知を徹底するなどの取り組みも、並行して行う必要があるように思います。

■「同じマンションで助け合える人がいない」という回答が約50%。防災訓練などの参加率を高めて、共助の下地づくりを進めることも必要。

実に約半数の方が「助け合える家族がいない」という結果に。「家族の安否確認対策」も準備ができていない、自宅での被災生活にも不安を抱えている方の多い状況を考えると、お互いに助け合える関係性を築いておくことも大切だと思います。

約半数弱が防災訓練に参加したことがないという結果となりました。防災訓練は、マンションによっては、マンネリしがちな場合もあるため、例えば上記の結果を参考に、新たなプログラムを実施して参加率を高めてみてはいかがでしょうか。

■マンション全体のマニュアル、備蓄品についての準備や周知も必要

防災マニュアル、備蓄品ともに、「ある」という回答が半数に至らない結果になりました。また、「わからない」という回答も多いことから、準備に加え、すでに用意しているマンションでは、住民の方への周知に、もう少し注力することも必要だと思いました。

■マンション住民から寄せられた声(抜粋)

Q.マンション防災対策に対するご意見や、疑問などがございましたら、ぜひお聞かせください。

  • どうしても意識のレベル差がある。そこまでやるかは住民総意がまとまることはなく、どこか中途半端なところは発生してしまう。個人で補うことも承知して、それぞれの価値観に合わせていくしかないと思っている。

  • マンションに関しては防災訓練も対策についても住民には全く知らされていない。今一度、対策を考えるべきではないかと常々思っている。

  • マンション住人は在宅避難が基本となる中で、災害用トイレや飲料水、食糧など各戸の備蓄が重要になる。各自の準備を義務付けるようにしておけば、発災時の混乱を小さくできると思う。震災時のトイレの使用可否とその判断基準について、詳しく知りたいし、管理組合で情報共有しておくべきだと思う。

  • 災害時は住民同士の助け合いが大切だと思うので、防災目的に特化した取り組みではなく、日頃から住民同士の交流がはかれるような企画をしてほしい

  • 私どものマンションでは「お助け隊」という仕組みがあります。マンション住民の若い世代の方達が災害時に私ども老人に避難の誘導などしてくださる組織です。そのメンバーの方々との顔合わせも行っています。

  • 防災対策に関する対応マニュアルを作成し住居人への徹底が必要である。特にマンション内の住人の中で病気の方や行動困難者の特定と災害時の管理組合役員の仕事内容を明確化すること。その内容を住居人に周知させることが肝要と感じています。どのようにしてマンション内の命を守るのかの検討を早期にやるべき。

  • 自マンションの防災関連の話(備蓄物・避難経路他)をまとめて、小冊子にして各戸配布すればいいと思った

【まとめ】
いつ発生するかわからない災害。自助も共助も、発生した際の具体的な被害を想像し、準備を行う必要があるように思います。住民、管理組合ともに、それぞれでできる対策はまだあるはずです。
「備蓄品や、非常設備の場所や使い方の確認」に、比較的ニーズがあるようなので、例えば「マンション内の防災設備ツアー」などを行ってみてはどうでしょう。「防災対策が進んでいない」「防災対策が進まない理由は、どれだけ備えていいかわからない」「助け合える家族がいない」「防災訓練に参加したことがない」という課題対策のひとつになるかもしれません。また、防災備蓄品の有無で「わからない」と回答された方がマンションの備蓄品を把握することにもつながります。防災訓練という機会を活用して、防災に関するさまざまな課題を解決していくことも、大切ではないでしょうか。能動的に取り組むことで、「災害に強いマンション」につながっていくと思います。このアンケートレポートが、みなさんの防災対策の一助になれば幸いです。

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