マンションでのトラブル解決には、やっぱり日々のコミュニケーションがカギ!
子どもの足音、ゴミ出し、タバコの臭い……、マンションではいろいろなトラブルがありますよね。
他の住民のマナー違反が気になる場合もあれば、自分がトラブルのもとになる場合もあります。トラブルが原因で、住民同士の関係に距離ができてしまうと、お互いに生活するのが辛くなるものです。
「問題が起きても円満に解決したい!」「できることならトラブルは避けたい!」――そのための解決・回避策について、接遇マナー講師の大石信子さんに聞きました。
※本記事は、2017年12月にマンション・ラボに掲載したものを、一部編集して再掲載するものです。
【取材協力】
大石信子さん
日本航空(JAL)国際線先任客室乗務員の経験を活かし、長年にわたりコミュニケーションやホスピタリティ教育に従事し、クレーム対応などに関する講演・研修開催。
トラブルかも?気になることがあったとき、解決のための3つのポイント
トラブルかも?と、気になる事にどう対応していくと、円満に解決していくのでしょう? 解決のためのポイントを3つ教えてもらいました。
①まずはマンションの管理員さんに相談
管理員さんは、マンション全体や住民の状況を把握しています。ゴミ出しのマナー違反への注意の掲示や、騒音を立てる住民への指導といったトラブル対応も、管理員さんの役割の一つ。本人に伝える前に、まずは管理員さんに相談し、話をしてもらうとよいでしょう。
②トラブルの相手に直接伝えるときは、「”私”メッセージ」に困った表情を添える
もし、トラブルについて、その相手に自分で伝えなければならないときは、困った表情で「”私”メッセージ」として伝えます。「私が気にしすぎかもしれませんが、物音が少し気になって眠れなくて……」と、「私が困っている」という言い方で、気持ちを言葉と表情で伝えるのがポイントです。
そうすれば「そうなの、悪かったわ……今度から気を付けますね」と相手の共感を誘うことができ、円満な解決につながるでしょう。
注意すべきは、「あなたの物音がうるさい」と相手を責めたり、「夜10時以降は静かにしてください」と強制したりしないこと。相手は「何であなたにそんなこと言われなきゃいけないの?」と感情的になり、人間関係がこじれてしまいます。
③トラブルを、周りに言い広めるのはNG
トラブルが起きても、他の住民に言い広めることはやめましょう。自分以外の住民に、その人の悪評を広めても、何の解決にもなりません。それどころか、ますます関係が悪化してしまいます。
自分が、トラブルのもとになってしまったときの対処法
時には自分がトラブルのもとになり、迷惑をかけてしまう側になることもあります。その場合の対処方については、次の2つの方法が有効のようです。
①心当たりがあるときは、先回りして気遣いを
夜泣き、部屋内を走り回る子どもの足音など、心当たりがあるときは「昨日、夜うるさくなかったですか? すみません」と、先に一言お詫びを伝えるといいでしょう。相手に「この人は、常識のある人だ」という印象を与えることができ、やり取りがスムーズになります。
②注意されたら、素直に受け止める
直接注意されたら、そのまま受け止めてお詫びをしましょう。また、注意された内容が自分のことではなかった場合は、「すみません。その日は3日間出張で家を空けていました。私のことではないと思います」と具体的な理由を伝えることも大切です。
トラブル回避の道も一歩から! コミュニケーションの3つのコツ
トラブルの解決には、お互いの気持ちや状況を受け止め、相手に適切な形で伝えることが、ポイントのようですね。
また、大石さんは、「そもそも、トラブルになったときには、すでに人間関係がぎくしゃくしていることが多く、一度こじれてしまうと、修復は難しくなります」とも言います。
大切なのは、日々のコミュニケーションを通して、「普段から人間関係をつくっておく」こと。良い関係づくりのための3つのコツを、教えていただきました。
①コミュニケーションの第一歩はあいさつ
「おはようございます」「こんにちは」
あいさつは、良好な人間関係を築く第一歩。引越し時やエレベーター内など、声をかけるチャンスは意外と身近なところに転がっています。「返報性の法則」といって、あいさつをされたら返したくなるのが、人の心理というもの。自分からあいさつをすれば相手も返してくれ、コミュニケーションが生まれやすくなります。
②笑顔の心掛け
表情から感情は伝わります。無表情・棒読み口調なあいさつは、「しゃくし定規な人だ」などと、かえって悪い印象を与えることも。心を込めて、“笑顔のあいさつ”を心掛けます。
③雑談のプラスアルファ
“笑顔のあいさつ”に、ぜひ、プラスアルファとして、雑談を交えることがおすすめ。
普段から「うちの子、今3歳なんだけどやんちゃ盛りで、足音や物音がちょっとうるさいかも……」など状況を伝えておけば、「あの家は、子どもがまだ小さいから……」と相手側に理解が生まれます。普段の会話から、お互いを知ることが、トラブル回避への第一歩につながります。
もし、話題に困ったら、「キドニタチカケシ衣食住」(*)を参考にして話します。
3つのコツを参考に、普段からコミュニケーションをとっておくのは大事ですが、必ずしも深く付き合う必要はなく、「仲良くならなきゃ!」と気負うことはありません。
大石さんは「“束の間づきあい”という江戸ことばがありますが、無理のない範囲で居合わせた人に声をかけることを、日々積み重ねていくことが大切です」とも言います。
根っから悪い人はいませんから、普段から人間関係ができていれば、トラブルは回避しやすくなります。自分から話しかけるのは、勇気がいることですが、「笑顔・あいさつ・プラスアルファの雑談」から、早速試してみてはいかがでしょうか?
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