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空室0%、賃料UP!を目指す、賃貸オーナーの取り組みやアイデアを取材してきた

(サムネイル写真提供©koshimizutakahiro.com)

今回は、 “ワクワクする賃貸物件づくり”を行うオーナーの越水隆裕さんに、“空室0%”の秘訣をうかがいます。越水さんは、室内をカラフルに彩る『カラーリングリフォーム』や、地元野菜の入居者無料配付など、話題のサービスを次々と提供し、居住者とのコミュニケーションを大切にするカリスマ大家さんです。

※本記事は、2019年にマンション・ラボに掲載したものを、一部編集して再掲載するものです。


カラーリングリフォームで個性的な賃貸物件を創造する

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川崎市高津区と宮前区に賃貸マンションなどを所有する賃貸オーナーの越水隆裕さん。家業の不動産管理を継ぐまでは、イギリスでレザーバッグブランドをプロデュースするなど、ファッション業界から賃貸フィールドへ飛び込んだ異色の経歴の持ち主です。

今回は、越水さんが所有する賃貸マンション『キャムパークハウス』で、カラーリングリフォームと、インテリアで物件を演出する『ホームステージング』を施した、3DKのお部屋にうかがいました。カラフルで明るい雰囲気のお部屋が、とても印象的です。

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玄関から部屋を見渡すと、カラフルで明るく、ワクワクしませんか? 越水さんは、このワクワク感が重要だと言います。(写真提供©koshimizutakahiro.com)
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リビングダイニングは鮮やかなブルーの壁面がとっても爽やか。個性的なカラーリングの賃貸マンションですが、職人さんにも手伝ってもらいながら、越水さん自身がDIYしたというから驚きです。 (写真提供©koshimizutakahiro.com)

——個性的なお部屋で、このテイストが好きな人にはたまらないですね。評判はいかがですか?

越水さん:「いろいろとお部屋を見学しましたが、いままでこんな部屋はなかった!」と言って、ご入居を決めてくださる方が多いです。あえて万人受けしない個性的なインテリアやDIYを施して、このテイストが好きな方に借りていただきたいと考えています。「キャムパークハウス」のある宮崎台エリアは、子育て家族やご夫婦で暮らす人が多い、自然豊かなベッドタウンです。
最近は、とかく駅近物件が好まれますが、部屋の魅力で差別化していくようにしています。

【POINT①ターゲットに合わせたリフォーム&ステージング戦略】
実際、今回見せていただいたお部屋は、この後すぐに借り手がついたそう。越水さんの所有する賃貸マンションは、この他に高津区にもあり、エリアの特性やターゲットに合わせたカラーリングリフォーム&ホームステージングを施しているのが特色です。

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部屋には、近隣のスポットの写真と説明をギャラリー風に展示。部屋の内覧だけではなく、周辺環境の“外覧”もしてほしいという、越水さんの想いから生まれたアイデアです。

——周辺環境を写真でお洒落に紹介するアイデアもいいですね。

越水さん:入居者さんには、自分が住む部屋だけじゃなく、住んでいる街のことも好きになってほしいんですよね。それに部屋探しに来た人って、不動産屋さんの車で直接来ることも多い。駅前の様子や、近くにどんなスポットや美味しいお店があるのか、周辺の魅力も伝えたいなと思っています。

【POINT②周辺情報の提供】
周辺情報をフォトギャラリー風に展示してさりげなく提供しているのは、借り手にとってはありがたい情報ですよね。住んでいる人だから知っている、お値打ちのスーパー、地元で評判のいい病院、美味しい居酒屋などの周辺情報に、入居者がアクセスできれば、きっと暮らしやすくなるはず。そんなクチコミ情報も、積極的に提供していくと良さそうです。

居住者へ野菜を無料配付!プチギフトが交流につながる

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賃貸マンションのエントランスに設置された、入居者さんへ無料提供する地場野菜。好きな野菜を持っていってください、というサービスです。 (写真提供©koshimizutakahiro.com)

賃貸オーナー、つまり『大家さん』としての越水さんのユニークな取り組みは、DIYだけではありません。入居者さんに無料で野菜を配るサービスは、「太っ腹大家さんの取り組み」としてテレビで取り上げられて話題になりました。

——野菜を無料で配ろうとしたきっかけは何ですか?

越水さん:3年ほど前に、本来は収穫祭であるハロウィンを楽しんでもらおうと思って、入居者さんに川崎の農家さんから仕入れた地場野菜をお配りしました。テレビでは「太っ腹大家さん」と大袈裟に言われましたが(笑)、半年に一度くらいのものですし、地元の農家さんから安く買わせてもらっているので、自分的にはいつもお世話になっている入居者さんへの感謝の印だと思っています。

——反応はいかがですか?

越水さん:最初は各家庭に一律で野菜を配っていたのですが、中には「忙しくて料理をしない」「たくさんもらっても困る」など、各家庭によって反応が異なりました。それで、みなさんが食べたいものを好きなだけ自由に選べるように、エントランスに野菜を置いて、お持ち帰りいただくようにしました。


テレビで紹介されたことで、多くの方々から「テレビ見ましたよ」、「すごいですね!」と大家さんの仕事を伝えることができ、入居者さんも自分の住むマンションを自慢に思えるなど、野菜の配布がコミュニケーションのきっかけとなったと越水さんは言います。

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エントランス前に設置している、収穫自由なシソとバジルの「食べられる植栽」。「食べられる植栽」の成育や収穫が、入居者同士のコミュニケーションをつくりだすことを期待しているとのこと。(写真提供©koshimizutakahiro.com)

無料野菜以外にも、クリスマスや節分などの季節のイベントごとに、何かしらプチギフトをプレゼントしている越水さん。大家さんと入居者さんとの間で「ありがとう」から始まるコミュニケーション。時には、「一緒に飲みにいきませんか?」という入居者さんからのお誘いもあるそうです。

【POINT③プチギフトによる心の交流】
無料野菜だけでなく、ちょっとしたギフトが、大家さんの気遣いを感じさせるもの。「ありがとう」という言葉から心の交流が生まれて、コミュニケーションが広がっているようです。

大空室時代に備えて!ワクワクドキドキをいかに創るか

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2019年7月9日・10日の2日間にわたって行われた“日本一小さな賃貸フェア「ワクワク賃貸まつり2019summer」”でのセミナーの様子。(写真提供©koshimizutakahiro.com)

越水さんは、不動産業界に関わる人々が楽しく、ワクワクする賃貸経営や不動産経営を行うために優良な情報を得る場を設けよう!と「賃貸UP-DATE実行員会」を設立。大家さんだけでなく、不動産業者さん、建築家さん、施工業者さん、入居者さんまで参加できる情報交換と交流の場となっています。

——いままで大家さん同士の横のつながりはなかったのでしょうか?

越水さん:従来の大家さんって不動産業者さんにお任せで、入居者さんと直に会うこともない遠い存在でした。だから横のつながりも必要なかった。でも、将来大空室時代が来ると言われている昨今です。これからの大家さんは、人任せじゃなく、自分で勉強して行動しなければ。「賃貸UP-DATE実行員会」は、その情報共有のための場づくりです。大家さんも働き方改革ですね(笑)。

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溝の口にある築90年の古い建物をリノベしたレンタルスペース「nokutica(ノクチカ)」で定期的に行われている、越水さん主催の「コシガタリ」の様子。「コシガタリ」は、日本全国から各界のキーマンを招いて語っていただくライブセミナーです。(写真提供©koshimizutakahiro.com)

——これからの大家さんに必要なことは何でしょうか?

越水さん:分譲マンションと違って、大家さんは賃貸物件のリーダーです。アイデア次第で何でもできるんですよね。他の大家さんには、何でもいいから自分でできることからやってみることをアドバイスしています。空室が出たら、そこでDIYでも何でも自分のアイデアを試してみればいいと思います。
高津区には、子どもたちの学びの場になるシェアスペースをつくりたいですね。子ども達が家事や縫製など、勉強以外の実学を学べる場にできたら面白いなあと、夢が広がります。お金をかけなくても、空室対策ってアイデア次第でいろいろなことができます。空室が出たらこのアイデアをトライしてみようと、ワクワクドキドキしています!

賃貸物件へのネットやIoT活用アイデア

——ネットやIoTを賃貸物件に活用するアイデアはありますか?

越水さん:ユニークな取り組みをしている賃貸物件と、家探しをしている入居者さんをマッチングさせる会員制の有料アプリなどがあると面白いですね。さきほどお話しした、住んでいる人だけが知っている街のお役立ち情報や、シェアキッチンスタジオやシェアスペースの情報も盛り込んで、地域に役立つ情報を提供するネットワークができると良いですね。

——最近では、ネット環境も必須のインフラとなってきました。賃貸物件における高速インターネット環境の整備は重要でしょうか?

越水さん:現在スマートフォンが生活に欠かせないアイテムの一つとなっている中で、ネット環境は重要な生活インフラだと思います。工事取り付けも昔より簡単になっているので、築年数の経った物件での付加価値として、内見者様や入居者様に喜んでいただけると思いますね。

——賃貸住宅・分譲住宅をはじめ、Webカメラによるセキュリティの向上や、IoTによる生活利便性の向上なども期待されています。これらについての期待はありますか?

越水さん:20~40歳代の方たちは、帰宅が遅かったりお部屋にいる時間も少なかったりすると思うので、こういったIoT設備は喜ばれると思いますね。多くのカメラをつけて完璧な見張りのシステムをつけることは、正直良いとは思いません。しかし、カメラ自体の性能の向上や、白黒ではなくカラーの防犯カメラであるなどの品質向上は、とても嬉しいと思います。

——インターネットに対して、これからの賃貸住宅で何か期待したいことはありますか?

越水さん:「インターネット無料」という特典は、若い入居者さんにとっては嬉しいのではないでしょうか。でも速度が遅くて、結果、自分で別の回線に加入するという方もいるそうですが…。時代とともにネット環境も日々進化し、容量も多くなっています。速度や容量が自然にアップデートするようなシステムにより、機能性が向上していくと嬉しいですね!

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越水 隆裕(こしみず たかひろ)さん
大学卒業後ロンドンへ。語学学校に通いながら革製品を扱う工場で働き、その後バッグブランドの立ち上げに関わる。2年間働き、2001年祖父の他界をきっかけに、父の会社にて不動産管理とアパレル営業を同時にスタート。その後、アパレル業で培ったノウハウを活かし「カラーリングリフォーム」を賃貸物件に施工、日々満室に近い賃貸経営を行う。お部屋のカラーリングはもちろん「ココロ」のカラーリングにも注目し、地域貢献活動や住人さんとのDIYなど、人との繋がりを広げる中での質の高い賃貸経営にチャレンジ中。
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