マンションインターネットの通信速度が劇的に改善! 業者の見直し・進め方や注意点を聞きました
こんにちは、マンション・ラボ編集部です。
「インターネットの通信速度が遅い!」
スマホで動画やゲームを楽しみたいのに、読み込みが遅い、動きがカクカクする。
テレワーク中、大容量のデータをダウンロードしようとしたら、おそろしく時間がかかる。
設備やプラン、インターネット事業者を見直したいけど、マンション全体に関わることとなると、他の住民の合意を得たり、複数の業者を理事会で比較検討したり、いろいろと面倒くさい・・・。
そんなマンションのネット環境でお困りの方必見!
今回は、新築時に契約していた全戸一括マンションISPとの契約を他事業者に見直して、マンション全体の通信速度の改善に成功した、管理組合を取材してきました♪
抜群の立地を誇る、高層タワーマンションが抱えていた悩み
取材したのは、東京都内にあるタワーマンション。シングルからファミリーまで、さまざまな世帯の方が暮らしています。
こんなに素敵なマンションにお住まいでも、以前から抱えていたお悩みがありました。それが「インターネットの通信速度が遅い」ということです。
ネット環境を改善するため、積極的に行動したのが、 理事長のMさんでした。
幅広い年代の方がいるため、インターネット事業者の変更には、もちろん反対意見などもあったそうです。どうやって進めていったのでしょうか?
マンション購入後にわかった、通信速度のこと
―――インターネット事業者を見直そうと思ったきっかけはなんでしたか?
このマンションを中古で購入し、いざ住み始めてみたら、「通信速度が遅い」ということに気がつきました。通信速度が速い場合は、PRしているケースもありますが、遅い場合は、わざわざ告知しないので・・・実際に使ってみるまでは、なかなか分からないんですよね。
―――内見時に、通信速度を測るわけにもいかないですよね。どのくらい遅かったのですか?
私の入居当時は、最大100Mbpsでした。回線自体も遅いうえ、大規模マンションなので、アクセスが集中する時間帯には、さらに速度が低下してしまうんです。僕もそうですが、今はテレワークされている方も多いですし、ご家族がそれぞれの端末で動画を見ることだって珍しくないですよね。暮らしの快適性や、マンションの価値向上のためにも、見直しの必要性を感じていました。
インターネット事業者、見直しまでの道のり
―――マンションのインターネット事業者を見直すとなると、サービス提供事業者を選定したり、住民の理解を得たり、いろいろと大変なことがありそうですよね。
サービス事業者の選定や、総会での承認までは、前任の理事長さんが進めてくださいました。
ただ、新しいサービス事業者への見直しを決めたのは、『回線の品質』に加え、以下のような、プラスアルファの要因が大きかったようです。
マンションの高層階は携帯電話の電波が弱く、つながりにくい場合がある。新たなサービス事業者は「フェムトセル」という、インターネット回線を使って携帯電話の電波を改善できる仕組みに対応していた。
もともと共用部にWi-Fiを設置する予定があり、現サービス事業者より見積もりを入手したところ、工事費が高額だった。一方、新たなサービス事業者からは、「マンション全戸一括でインターネットサービスを見直しするなら、共用部へのWi-Fi設置工事費は無料にします」という提案があった。
既設のインターネット用の光ケーブルをそのまま利用できるため、共用の通信設備や、各住戸の機器の交換工事のみで、インターネットサービスの見直しができることが分かった。
なお、サービス事業者の見直しまでにかかった期間や、全体の流れとしては、以下のようなイメージです。
―――スムーズに進行したように感じますが、住民からの反対意見などはいかがでしたか?
もちろんありました。主に、「ネットの使用頻度が低くて、そもそもあまり不便を感じていない」方や、「今のインターネット事業者が提供するメールアドレスを使用していて、見直しにより、メールアドレスの変更が必要になる」方からです。
ただ、今回の見直しで、管理費の変更がなかったことや※、僕と同じく、通信速度に不満を感じている方が多かったせいもあるのか、総会に出席された方で反対されたのは2名程で、過半数以上の方が見直しに賛成という結果でした。
※通信速度を改善するために設備を変更したことで、月々の費用は上がるものの、現在の管理費で賄える範囲だったため、結果インターネットの月額料金は据え置きだった。
ただ、過半数の方が賛成とはいえ、見直しや工事に不安を感じる方がいるのも当然です。僕が理事長をバトンタッチしてから注力したのは、工事が始まるまでの、住民へのお知らせでした。
工事の内容や、メールアドレスの変更に不安を感じている方が、できるだけ早いタイミングで準備ができるように、要点をわかりやすくまとめたチラシの全戸配布や、個別説明会を行ないました。
―――Mさんが、自分でチラシを作成されたんですね
確かにほかの理事の方からは、「こういうことは、管理会社に依頼したほうがいいんじゃないか?」という意見もありました。でも、できるだけ案内は早いほうがいいでしょうし、もともとデザイナーとしての経験がありましたので、「できる人がやればいい」と、スピードを重視して進めました。
通信速度が劇的に改善!テレワークもラクラク
―――見直し後、インターネットの使い心地は、いかがですか?
見直し前の通信速度は最大100Mbpsでしたが、見直し後に速度を測定すると、下り1.0Gbps の速度でした。いろいろなマンションで暮らしてきましたが、これまでに見たこともないほど、高速です(笑)。
これなら、回線が混雑しやすい夜間でも、動画視聴や写真のバックアップなど、いろいろな作業を快適に行うことができるようになりました。実際、僕の勤める会社では、週3回、テレワークの日があるのですが、ストレスなく仕事を進められています。
同じような悩みを抱えているみなさんへアドバイス
―――アドバイスがあればお願いします!
インターネットの事業者を見直すことは、とても大変そうなイメージがあると思うんですよね。「通信が長期間止まるような、大規模な工事が必要なんじゃないか?」「すごくお金がかかって自分たちの負担が増えるんじゃないか?」と。
もちろん、マンションによって工事の内容は変わってきますが、既存のインターネット用の通信線をそのまま利用できたり、一部の機器を交換するだけだったりと、想像しているほど大変じゃない場合も多いと思うんです。イメージだけでしり込みせずに、調べてみて、実際にサービス事業者に声をかけて調査や提案をしてもらったり、そのうえで「値段が上がるからやめよう」「この内容なら住民の合意が得られそうだ」というように、理事会で検討を進めていくとよいと思います。
あとは、とにかく早め早めに住民のみなさんにお知らせしていくことでしょうか。これだけたくさんの方が住んでいると、どうしても後から「どうして早く教えてくれなかったんだ」「もっとこうしてほしかった」といった意見が出てしまうんですよね。ですから僕は、できるだけ先回りをして、事前にオンラインでアンケートを取ったり、チラシを配布したりして、「知らなかった」「意見を言う機会がなかった」という状況が生まれにくいようにしています。そうすることで、住民が安心してくれます。
マンション側のリスクが少なく、メリットが大きい、そのような提案をしてくれるサービス提供事業者と一緒に、見直しを進めていくことが、成功の秘訣ではないでしょうか。
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